ドラッグ 大麻
大麻はコカイン、ヘロイン、LSDと並んで、世界的に有名な麻薬のひとつです。インド系大麻を原料とし、幻覚性の強い薬として知られ、一部の国々では「タバコよりも安全な麻薬」として合法化が進められていますが、アメリカや日本など、ほとんどの国では、今なお「危険な麻薬」と見なし、使用・所持ともに固く禁じられています。
大麻はいくつかの顔を持ちます。麻薬である「大麻(ハシシュ)」としての顔、繊維を得る「麻(ヘンプ)」としての顔、そしてクワ科の植物「アサ(カンナビス)」としての顔です。繊維としての麻の歴史は古いですが、麻薬としての歴史も、繊維に負けぬぐらい古いと言われます。
植物としての「アサ」は、育つと最大2~3メートルぐらいにまで成長します。草は繊維となり、葉は麻薬の原料となります。実は料理の材料、もしくは飼料に、油は「大麻油」としてペイントや明かりの油として使われ、その汎用性はかなり広いです。
アサの花言葉は「運命」(イギリス)、「利用」「必需品」(フランス)で、イギリスのそれは絞首刑ロープからの連想、フランスのそれは、その広い汎用性から来るものだと考えられています。
毒性の低い麻の実は食用にもなります。麻婆豆腐は麻の実を材料に使ったからその名がついたとも言われています。もっとも、これには別の説もあり、「麻」という婆さんが考えたという説、「麻」はアサではなく、「麻痺させるもの、舌を痺れさせるもの」で「山椒」を意味するとも言われています。
麻の実は他にも七味唐辛子の材料にも使われており、麻の実と「生唐辛子」「炒り唐辛子」「芥子(けし)の実」「粉山椒」「黒胡麻」「陳皮(ミカンの皮)」を組み合わせるから「七味」と呼ばれます。
大麻にはメス株とオス株がありますが、麻薬の材料となるのはもっぱらメス株の方です。陶酔成分THC(テトラヒドロカンナビノール)の量もオス株に較べ数倍多く含まれます。大麻製造業者がまず覚えなければならないことは、株の雌雄を見分けることであるとも言われています。雌雄は花の形で見分けることができるそうです。
ちなみに、メス株を受粉させない状態で育てると、「シンセミア」という陶酔成分の強い花を得ることができます。日本で違法栽培を行っている者のほとんどは、大麻をこのシンセミアの状態で育てているそうです。受粉させた大麻とシンセミアの大きな違いは、完成品の中に種が入っているか入っていないかであると言われています。
日本に自生する大麻は毒性が低く、燃やしても陶酔成分のTHCをほとんど生じません。そのため、日本ではもっぱら大麻を繊維材として使ってきました。しかし、完全に無毒ではないので、大量に集めればやはり中毒を起こします。「麻打ち」と呼ばれる繊維を取る作業の最中に、酔っぱらったような気分になる「麻酔い(あさよい)」という現象は古くから報告されてきました。
「播磨国風土記」には、二人の女性が麻打ちを行っていたところ、次の日には死んでいたという話が所収されています。「古今要覧稿」には大麻について、「人をして狂笑止まざらしむ」との一節があり、また、「甲子夜話」には「麻の初生の芽を食すれば発狂す」と書かれています。
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